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2012年03月19日(月)

猫のフィラリア予防のすすめ [病気に関するお話]

フィラリアといえば言わずと知れた犬の寄生虫です。

しかし、今回は猫の話です。
フィラリアは本来犬、狼、キツネ、タヌキ、イタチなどイヌ科の動物に寄生します。従来、フィラリアは猫には寄生しないか、寄生しても非常にまれなことと思われていました。
 ところがここ10年くらいで犬のフィラリアが猫にも感染し、重篤な症状を起こすことがわかってきました。すでにご存知の飼い主様もいらっしゃることでしょう。

今日のネタはアメリカフィラリア研究会American Heatworm Society
(http://www.heartwormsociety.org/veterinary-resources/feline-guidelines.html#Epidemiology)の猫のガイドライン2012年バージョンからの受け売り(いわゆるパクリ)です。

興味を持たれた方はタイトル(猫のフィラリア予防のすすめ)をクリックしていただくと、より詳しい内容が書かれていますので是非ご一読ください。

 猫は犬と比較してフィラリアに感染しにくいということは周知の事実ですが、全く感染しないわけではないようです。例えばフィラリアの幼虫100匹を犬に感染させるとすべての犬でフィラリアは成虫にまで育ち、平均60匹の成虫が肺動脈に寄生するそうです。その反面、フィラリアの幼虫100匹を猫に感染させるとおよそ75%の猫で感染が成立し、3〜10匹が成虫となり肺動脈に寄生するそうです。以上の実験結果から犬ほどではないにしろ猫もフィラリアに感染すると言えます。

 実際の猫のフィラリア症の症状ですが、犬のように症状からフィラリア症を疑うことはできません。
比較的軽度な症状は
・何となく元気がない
・食欲不振
・咳
・頻呼吸
・努力性呼吸
・食事に関連しない嘔吐
などです。
症状が重度な場合は、
・呼吸困難
・喀血
・運動失調
・虚脱
・けいれん
・突然死
などです。猫の突然死の何割かはフィラリアによるものだと思われます。フィラリアで死亡した猫(病理解剖で診断)のおよそ1割が室内飼育をされていたそうです。猫エイズや猫白血病と違って、猫のフィラリア症に関しては「室内飼育だから大丈夫」というの残念ながら言えないようです。
 猫のフィラリア症は犬のように血液検査をしてもほとんど診断がつきません。その理由として、フィラリアに感染してもフィラリアの感染数が少ないため、血液検査に引っかかってこないようです。私自身は過去に1例だけ抗原検査でフィラリア陽性という結果が出たことがあります。また,私が学生時代に当時の助教授が猫のフィラリアの手術を1例行っていました。

 猫のフィラリアを診断する場合、血液検査(抗原検査、ミクロフィラリア)、胸部レントゲン、超音波検査などで総合的に行います。しかし、「この結果が出れば猫のフィラリア症!!」という確実なものはありません。したがって獣医師が「この猫さんはひょっとしたらフィラリアかもしれない」という疑いを持って診察をしないとフィラリアの診断はつかないといえます。

「猫はフィラリアにほとんどかからない」のではなく、決定的な診断ツールが存在しないので、我々獣医師が「猫のフィラリア症」と診断をつけられないのかもしれません。
 
 猫がフィラリアに感染した場合、犬に寄生した場合と比べてフィラリアの寿命は短く、幸いにも症状を出すことなく自然治癒する場合もあるようです。この場合は飼い主様も自分の猫がフィラリアにかかっているかもしれないなど夢にも思わないことでしょう。しかし、問題は、運悪く重症化してしまった場合、命にかかわることがあり得るということです。

猫がフィラリアに感染するとフィラリア関連呼吸器障害Heatworm-Associated Respiratory Disease(HARD)と呼ばれる状態になります。
 
HARDは2期に分かれます。
最初は若いフィラリア幼虫が肺動脈に到達したときに肺動脈、気管支、肺胞に激しい炎症を起こします。ここで症状が出る場合があります。この時に幸いにも症状が軽度で乗り切った場合はフィラリアは成虫に育ち、しばし安定期に入ります。次の段階では寄生していたフィラリアが死んだ時に起こります。死亡したフィラリアが抹消の血管に詰まり、血栓塞栓症をおこしその部位から激しい炎症が生じます。運が悪いと最初の段階や次の段階で呼吸困難となって急死してしまいます。

猫は犬ほどフィラリアに感染しない事は紛れもない事実ですので、従来通りフィラリアの予防をしない選択もありだと思います。しかし、予防することでフィラリアによる猫の突然死のリスクを少しでも減らしてあげたいとお考えになるようでしたら、ぜひ当院へご相談ください。

 

Posted at 15時58分

2010年12月21日(火)

食道内異物に注意!! [病気に関するお話]

食道内異物とは、食べたものが胃まで到達せずに、食道の途中で止まってしまう事をいいます。動物は悶絶し苦しみます。ここ最近2例ほど続きました。
 
 1例目はワンちゃんが飼い主さんの隙をついてリンゴの切れ端を飲み込んでしまったということでした。来院時には口からよだれを垂らし苦しそうでした。何とか飲み込もうとするのですが飲み込めず、吐きだそうにも吐き出せず、そのうち後ろ足がふらふらしだして、失禁してしまうようになってしまったので、診察時間中でしたが、診察をいったん打ち切って緊急で麻酔をかけました。
 内視鏡で観察すると胸部食道あたりでリンゴの切れ端がすっぽりはまりこみ、全く動かない状態でした。内視鏡沿いに異物鉗子を挿入し、リンゴをつまんで取ってこようと試みますが、つまんだ部分だけ崩れてしまってなかなかうまくいきません。仕方が無いので何度も何度も異物鉗子でリンゴをつまんで少しずつリンゴを崩していきました。最終的には半分ぐらいの大きさになってところですっぽりはまっていたリンゴが動き始めたので、内視鏡で残ったリンゴを胃まで押し込みました。これで無事完了です。胃まで入ってしまえば一安心です。その日の夜無事退院できました。

 2例目は呼吸停止の状態で病院へ駆け込んできました。一目見てかなりヤバイ状態なのが誰の目にも明らかでした。口元は泡だらけで、舌はでろんと垂れ下がってチアノーゼ(酸素不足で青紫色)を呈し、手足もぶらぶらで虚脱状態でした。「もう、死んでしまっているかも・・・・」と思いながらも、人工呼吸器を素早くセットしました。気管チューブを挿管しようと口を開けたところ、喉の入口に大きな大根の塊が引っ掛かっていました。急いで喉元の大根を取り除き、気管チューブを挿管し人工呼吸を行い、蘇生薬を投与すること数分後、自発呼吸が戻ってきました。飼い主さんが「大根を与えてたら喉に詰まった。」と行っていた通りでした。ラッキーな事に数分後、意識が回復しました。数時間で精神状態、呼吸状態ともに回復したため、この子も無事に退院できました。


 今回はラッキーにも2例とも無事退院できましたが、私はこれまで何度も残念な思いを味わっています。
飼い主さんが何か与えた直後に動物の異変に気づいて、慌てて病院へ駆け込んだものの、その時にはすでに窒息で死亡していたという経験がたびたびあります。

食道や喉に詰まりやすいものとしては
1.根菜類:イモ類、大根、カブ、ニンジンなど
2.果物:ナシ、リンゴ、パインなど
3.犬用ジャーキー
4.犬用デンタルガム
5.犬用おやつの豚の耳や蹄など
です。

可愛いワンちゃんを喜ばせるつもりで与えたおやつが結果としてワンちゃんの命を奪ってしまうような結果になるのは悔やんでも悔やみきれませんよね。

おやつは肥満の原因になるので、お勧めしませんが、どうしても与えなくてはならない場合やどうしても与えたい場合(人間のほうが)は、くれぐれも与える大きさに注意してくださいね。丸のみしても大丈夫な大きさを考えて与えるようにしてください。

Posted at 00時35分

2010年05月11日(火)

狂犬病予防注射を考えるパート3 [病気に関するお話]

今回は狂犬病予防注射も含めてワクチン全般の問題点です。

ワクチン接種は、体内に病原体を注入することによって体に抵抗力(抗体)をつける仕組みです。

もちろん、ワクチンに用いる病原体(ウイルス)は、病気を引き起こすものと同一ではありません。
もともとの病原体(ウイルス)を生きた細胞で何代も培養して、病原性が極めて弱いか、病原性が無くなったものをワクチンとして用います。これを生ワクチンと呼びます。それに対して病原体(ウイルス)を殺して(不活化といいます)、病原体(ウイルス)の構造の一部をワクチンとして使用するものを不活化ワクチンと呼びます。

一般論ですが、生ワクチンはウイルスが生きていますので、ワクチン効果が大変高く、抗体の上昇も良好であると言われています。ただし、ごくごく稀なケースですが、ワクチンウイルスが病原復帰性を持ってしまうケースがあるようです。もちろんワクチンメーカーはワクチンに使用する継代培養したワクチンウイルスが病原復帰性が無いことを確認しているにも関わらずです。

それに対して不活化ワクチンはウイルスは死んでいるので病原復帰性はあり得ませんのでかなり安全と考えられます。しかし、その反面、抵抗力をつける効果はいまいちと言われています。そのジレンマを解消するために「アジュバント」と呼ばれる免疫系の刺激を高めるものが添加されています。不活化ワクチンの場合はこのアジュバントが問題となるようです。ちなみに狂犬病ワクチンは不活化ワクチンです。


残念ながら狂犬病ワクチンも伝染病の混合ワクチンでも毎年、ごく僅かながらワクチンが原因と考えられる事故が起こっています。

重症例ではアナフィラキシーショックによる死亡、軽症例では嘔吐、顔面の腫脹などです。

 幸い私は狂犬病ワクチン・伝染病ワクチンを含めてアナフィラキシーおよび死亡には遭遇しておりません。しかし、顔面が腫れあがってしまうのは毎年何回か経験します。

大事なことは、ワンちゃんの体調と相談しながらワクチン接種をすることが重要です。

1.体調に不安がある時はけっして強引にワクチンをうたない
2.ワクチンをうつ場合は可能な限り午前中早い時間に(9:00〜10:30)に接種する。
3.飼い主さんが1日ワンちゃんの様子を見ることができる日に注射する。

 ワクチンがきっかけで体調を崩すことは絶対に無いとは言えません。体にない異物を体内に注入するわけですから、過敏反応が起こっても不思議ではありません。

 人間の場合でもワクチン接種と副反応の問題は必ずいつも出てきます。副反応に過敏になって予防接種を中止すると、そのあとワクチンを中止した世代で特定の感染症にかかりやすくなったり、いろいろワクチンを接種していないことによる問題を生じます。


しかし、ワクチン接種後に具合が悪くなるのは非常にまれなケースです。
伝染病に感染してから慌てても遅いのです。ワクチン接種そのもののリスクよりも、ワクチンを接種していなくて伝染病にかかってしまうリスクのほうがはるかに高いと思われます。狂犬病に関しては何度も言うように、清浄国を維持すること重要なのです。


かかりつけの獣医師と十分相談しながら、より安全なワクチン接種をしていきましょう。


Posted at 18時56分

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